船舶の国際電気通信料金計算担当機関 AAIC: JP03 協立電波サービス株式会社

Inmarsat関連資料

3. Fleet Broardband(以下FB)の導入のメリット

2011年5月1日 初版掲載
2014年8月1日 改定

Inmarsat Ltd.はインマル-Bのサービスを2014年12月末2016年末(延期されました)で終了することを 決定したため、既存のインマル-B設置船で2017年以降も運航する船舶は期日までに換装する必要があります。

また2014年初頭にInmarsat Ltd.がインマル-Fのデータ通信(パケット通信及び時間課金通信)について 大幅な値上げを実施致しました。これによりFBへの換装メリットは更に大きくなっております。

1. FBの特徴

  1. データ通信速度の飛躍的進歩
  2. データ通信(パケット通信)と音声通話が同時に可能
  3. コンパクトなアンテナユニットで、装備が比較的容易
  4. 最大160文字までのSMS(ショートメッセージ)に対応
  5. データ通信無制限プランなど大容量プランも提供(一部制限あり)

2. インマルB・FをFBに換装する場合のメリット

インマルBによる同容量(1MB程度)のデータ通信と比較して、通信料金が1/4から1/3(*註釈)、 インマル-FのMPDS(パケット通信)との比較でも1/3と、データ通信料金が大幅に安くなっております。 現在インマルB, Fのデータ通信で月額10万円使用している船舶は、年間で約80万円節減が可能となるため、 FB機器の購入費用は1-2年以内に回収できる試算となります。

*註釈

KDDIの通信料定価(2014/2/27以降)で、1MBを送受信した場合の通信料試算:

  1. FBB (スタンダードプラン):$17.80
  2. インマルBのData (推定値):$58($47-$69)
  3. インマルFのMPDS:$54.88、インマルFのHSD (推定値):$39.49

条件等:インマルBの公称データ通信測度9.6Kの実効速度を6Kbpsと仮定すると、 約0.045MB/分(22.22分/MB)で、通信料はPeak時間:$3.1/分で$69、Off-peak時間:$2.1/分で $47/MBとなる。

3. FBの運用面の留意事項

  1. FB機器はSIMカードがなければ通信できないため、SIMカードの盗難、紛失には十分注意する必要があります。
  2. 運用時の注意点として、陸上で使っているようにWeb画面を次々に開いていくと、 データ量が増えて高額な料金になります。天気図・台風予想図等の良く使う情報は、直接その画面に入るように 「お気に入り」等に登録しておくことをお勧めします(一般的なフルカラーの画面は約1MBで、 1画面を見る料金は、FBで$17.8、FのMPDSで$54.88、HSDで$39.49が見込まれます)。
  3. FBでFAXの送受信は高額(ISDNと同額の$8-9.2/分)であるため、原稿をスキャナーで取り、 Eメールに添付して送受信するか、インマルB、インマルF等が残置されていれば、 そのFAXを使う方が通信費の節減になります。
  4. 近年はメール以外の通信料が増加傾向で、特にWeb閲覧(ネットサーフィン)によると見られる高額な 通信料が発生するケースがあるため、アクセスできるWebの制限や、 本船にFBの通信ログを定期的にチェックさせるなどの対策を指示することをお勧めします。
  5. 陸上のプロバイダアクセスポイントでフィルタリングを設定しても、本船から衛星を通じてアクセスポイントまでの通信が生じます。 従って、本船側にもファイアウォールなどを設置することをご検討下さい。

以上

Copyright © Kyoritsu Radio Service Co., Ltd. All Rights Reserved.